【ANC搭載ワイヤレスヘッドホン NISHEN EL528 レビュー】音質は明るめのフラット。ANC性能は平凡。相性問題あり

NISHEN EL528
NISHEN EL528

ワイヤレスヘッドホン ANC機能搭載 ヘッドセット密閉型 iPhone/iPad/Android などに対応
「フラッシュレビュー」はデータ中心の簡潔な内容で、ポイントを絞ってオーディオ製品を解説します。

NISHENというメーカーについてはよく知りません。最近格安の中華製アクティブノイズキャンセリング搭載ヘッドホンが増えてきましたが、このNISHEN EL528もそんな末端レベルの無名に近い製品のように思われます。

正直に言いますが、例外は稀に存在しますが、こうした「無名のメーカー」が同じ価格帯のそれなりにまともな中華メーカーと比べて品質面で勝っていることはほとんどありません。これからのレビューで明らかにしていきますが、このNISHEN EL528も残念ながら例外的な存在ではないようです。

基本スペック
  • 連続再生時間:15h
  • 防水性能:なし
  • 対応コーデック:AAC/SBC

パッケージ

価格を考えると少し貧相です。説明書の紙なんてペラペラで、質の悪いコピーをハサミで切ったようなもので説明も詳しくありません。

NISHEN EL528

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NISHEN EL528

NISHEN EL528

NISHEN EL528

NISHEN EL528

装着サンプル

パッケージはチープですが、本体のデザインは悪くありません。飾り気がない感じですが、変に悪目立ちするような感じでもなく、比較的装着しやすいです。ややイヤーマフの直径が小さめですが、厚さは充分にあり、装着感は良好です。

NISHEN EL528

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NISHEN EL528

接続品質

残念ながら相性問題があります。おそらくマイク通話に対応していないか古いAndroid OSのDAPとは相性が悪く、確認した限り、FiiO M15FiiO M11 ProAstell&Kern KANN CUBEとつないでも音を出すことが出来ません。Galaxy A30Hiby R6 Proからは正常に音楽を再生することが出来ます。

接続品質はおそらく標準以上でなかなか優秀そうです。送信側から5m距離を取ってもシームレスに音楽が繋がっていますし、遮蔽物があっても大丈夫なようです。

なおHiby R6 Pro(Android OS)でAAC接続を確認しました。

アクティブノイズキャンセリング性能

お世辞にも良いとは言えません。5000円台クラスとしては標準よりちょっと悪いくらいです。以下にこの機種のアクティブノイズキャンセリング性能について我流で測定したものを掲載します。ノイキャン性能を測定する規格に沿った計測ではないので、あくまで参考情報であることにご留意下さい。

具体的なテスト方法は、

  1. テスト方法はHATS(測定用ヘッド)の鼻先にLuxon JL-2001-005を設置し、ホワイトノイズを再生して「基準ノイズ」を測定し、
  2.  次にHATSにANC機能をONにしたヘッドホン(この機種と比較参考用のOneOdio A9)を被せ、同じくスピーカーからホワイトノイズを再生して1/6オクターブごとに測定しました。そのデータが以下になります。
  3. 測定時には自由音場補正フィルターをかけています。

以下がそのデータをグラフ化したものになりますが、使用しているイヤーシュミレータの特性上、20hz以下の低域や16khz以上の高域はそれほど参考になりません。

NISHEN EL528

全体の平均遮音性能では、可聴域(20hz~20khz)の平均値を算出したところ、OneOdio A9の平均遮音性能が15.39dBだったのに対し、NISHEN EL528の平均遮音性能は10.20dBになりました。

テスト条件を考えれば、このテストは正確には前方遮音性のテストになるわけですが、少なくともその測定値で考える限り、NISHEN EL528のアクティブノイズキャンセリング性能はあまり優秀とは言えません。

音質

測定機材

  • SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
  • AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ
  • マイクプリアンプ:Type4053
  • Type5050 マイクアンプ電源
  • オーディオインターフェース:ROLAND Rubix 24
  • アナライザソフト:TypeDSSF3-L

※イヤーシミュレーターの特性上、20hz以下と16khz以上の信頼性は高くありません。 

周波数特性

上から順に、

  1. 左右別
  2. 左右平均
  3. 左右別(自由音場補正済み)
  4. 左右平均(自由音場補正済み)

NISHEN EL528

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NISHEN EL528

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周波数特性を見るとご覧の通り、比較的バランスの良いフラットサウンドになっています。特徴的な2つの谷間があり、1つは200hz付近の中低域に、もう一つは中高域に存在しています。

低域は明るめでレイヤリングが良く、ベースとドラムのぶつかりは適度に避けられています。中域との繋がりが良く、関係性はスムーズでリニアです。中域は充分に前面に出てきて、ボーカルも近いです。

中高域の色づきは良く、アタックはそこそこで音像が把握しやすく、高域も充分に伸びているので、開放的な高さがあります。超高域は閉じていて、甘味を意識しています。

音質は明るいフラットでクセが少ないと言え、EDMあたりとは相性が良いです。適度な膨張感があって聴き心地はマイルドですが、解像感は悪くありません。

レコーディングシグネチャー

レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。

参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。自由音場補正済みです。ソースはHiby R6 Proを用いています。AAC接続です。

レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。

JAZZ

音源はこちら

OST

音源はこちら

クラシック

音源はこちら

ロック

音源はこちら

総評

音質は明るいフラットでわりかし万能に聴けそうな雰囲気があり、低域もクリアで悪くない印象を受けますが、接続の相性問題があるのが致命的です。パッケージの点でもお世辞にも高級感があるとは言えず、ANC性能も平凡なため、あまりおすすめ度の高い機種ではありません。

NISHEN EL528
NISHEN EL528

ワイヤレスヘッドホン ANC機能搭載 ヘッドセット密閉型 iPhone/iPad/Android などに対応

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